
山形の生活においては、暖房を必要とする期間は非常に長く、豪雪地帯であれば半年以上。山形市内ですら半年近く必要になります。長い冬が明けGWの時期を迎えて暖かくなったと思っても、突然気温が下がってストーブを出すなんていうのも珍しいことではありません。そんなことなら最初から暖かい家を建ててしまえば経済的ですし、省エネにもなりますし、いいことばかりのはず。なのに、その当たり前のようなことが一般の人にはなかなか理解されません。
「新しい家を建てれば、どんな家も暖かい家になる」とお思いの方が多いのかもしれませんが、そんなことはありません。「高断熱高気密」を謳うハウスメーカーであっても、性能のレベルには様々あり、揺らぎがあります。せっかく夢のマイホームを建てたのに、賃貸より寒くなったとか、細かく区切られた全部屋にエアコンがあって膨大な電気代がかかるとか、そんな事例がたくさんあるのです。
暖かい家づくりというのは、見た目のかっこいい家を建てることとはまったく次元が異なります。暖かい性能を発揮するだけの施工ができたかどうかがポイントです。ですから大切なのは、暖かい家づくりのノウハウを持つ工務店さんにお願いすることです。断熱材をペタペタ貼ればいいというものでもなく、大工さんの技術や手間が必要ですから、大量の注文をこなす大手のハウスメーカーさんにはちょっと難しい話です。
コルポ建築設計事務所WORKSより「霞城の家 2016」
暖かい家づくりにもう一つ重要なのが、気密です。気密というのは非常にデリケートで、せっかく大工さんがきちんと施工してくれても、電気工事の人が台無しにしちゃうこともありえます。ですから、電気工事や設備工事をする人たちとのチームワークも、仕上がりをコントロールする工務店さんにとってはとても大切になります。
私がめざすのは、そのような優れた性能を持ち暖かい暮らしを提供しつつも、やはり外観も素敵な、街並みにも気を配った家です。建築設計をやっている人の多くは性能よりも造形にこだわる人が多いものですが、私ひとりくらいはその中間的なポジションにいてもいいのかな、と思っています。
コルポ建築設計事務所WORKSより「みはらしの家2018」
この頃は、断熱性能の高い家は「省エネで経済的である」だけでなく「健康に良い」ことが証明されてきています。ヒートショックもなく、結露によるダニやカビの発生もなく、アレルギーになる可能性も減ります。室温が一定に保たれることで体の負担も少なくてすみ、疲れにくくなり、風邪もひきにくくなります。健康寿命を延ばすことにも繋がることでしょう。そこまで言われているのに、断熱性能に優れた家づくりをめざさない理由はないですよね?

石山寛さん
(建築家・コルポ建築設計)
一級建築士。1973年山形市生まれ。東北芸術工科大学 環境デザイン学科卒業。本間利雄設計事務所を経て2013年コルポ建築設計事務所設立。2015年日本エコハウス大賞2015入賞「Casa Mon taña」。
参照記事:reallocal 山形 https://reallocal.jp/54218